その1冷蔵保存のもちは肉によって違います
加工年月日と賞味期限
スーパーマーケットのパック売りの肉には加工年月日と賞味期限が表示してあります。加工年月日は、大きな肉のかたまりを薄切りや厚切りなどに切ってパック詰めした日。冷蔵庫で保存すれば、この期間内なら肉をおいしく食べられます、というのが賞味期限。必ずしも期限が切れたらすぐ傷む、というわけではありません。
保存期間
牛肉は、肉屋の店頭には枝肉になったから10日~2週間くらい熟成した食べ頃の肉が出ています。冷蔵室でも保存期間はスライスで3日、ブロックで5日くらいです。
豚肉は基本的に牛肉と同じですが、「牛肉は外から、豚肉は中から傷む」といわれるほど、豚肉の傷みはわかりにくいものです。冷蔵室での保存期間は2~3日が限度です。
鶏肉は肉の中でいちばん傷みが早いので、冷蔵室保存しても翌日までです。
ひき肉は肉を電動の機械でひくため、多少ですが熱が加わり、空気に触れる面積も大きいため傷みが早いのでその日に使いきりましょう。
肉の色
肉の保存期間はあくまでも目安です。腐敗臭がしたり、表面が粘って青っぽく光るというときは食べられません。鶏肉の場合は、傷むと肉の色が暗黄色になり、つやがなくなります。
ただし、豚肉や牛肉で肉の重なり合った面が黒ずんでいるのは、空気に触れていなかったために酸化が起きなかっただけなので、心配いりません。切りたての肉は、鮮赤色ではなく、やや黒ずんでいるのが普通です。
冷蔵庫の温度
肉を冷蔵庫で保存するときは、庫内温度を5度以下に保つことが原則ですが、家庭の冷蔵庫は頻繁にドアを開けるため、庫内の温度が一定しません。冷蔵庫の過信は禁物です。冷蔵庫内で肉をおく場所は、温度がいちばん低い、冷気の吹き出し口近くなどがよいでしょう。氷温室、チルドルームがついていれば、そこに置きましょう。
その2冷蔵保存のコツ
包み直して保存
肉は空気に触れていると、酸化が進んで風味が落ちるだけでなく、雑菌がついたりカビが繁殖しやすくなります。ラップできっちりと包みなおし、さらに密閉できる保存用ポリ袋、容器などに入れます。
脱水しながら保存
鶏肉が日持ちしないのは、水分が多いためです。脱水シートにはさんで冷蔵保存すると、水分が抜けて肉がしまります。
加熱保存
鶏肉は酒蒸しにしておくのも手です。冷蔵庫で2~3日は保存でき、サラダや和え物の具に重宝。冷凍保存も可能。耐熱皿に皮側を下にしておき、1枚につき塩少量と酒大さじ1をふりしょうがの薄切り3~4枚をのせ、ラップをして、電子レンジ(500W)で約5分加熱します。少量残ったひき肉はからいりしておきます。スープの実や卵料理の具に利用できます。
下味をつけて保存
鶏のから揚げ、スペアリブのオーブン焼きなどは、前日から下味をつけておきます。
その3冷凍保存のコツ
小分け冷凍
必要なとき必要なだけ取り出せるように分けて冷凍します。
薄切り肉は炒め物などによく使います。しょうが焼きなどは1人分80~100グラム、豚薄切り肉なら3~4枚です。家族の人数分1単位で小分けし、折ってある肉は広げて厚くならないように重ね、空気を抜いて包みます。
100グラムくらいの少量包みもあると、野菜炒めや汁物に便利。豚や牛のかたまり肉は、カツやステーキ用に10ミリ前後の厚さに切り、1枚づつ、ささみも1本づつ包んでおくと、酒の肴や椀だねのとき助かります。
骨付き肉、手羽先、手羽元は空気を抜いて包むのがむずかしいので、冷凍には向きません。
しっかりパックしましょう
冷凍庫内ではラップは破れやすいので、ポリ袋で二重、三重にガードしておきます。ファスナーつきのフリージングバッグが便利です。
保存期間
香味野菜を使う場合は、肉の前に炒めます。香味野菜はみじん切りにすることが多く、強火で炒めるとすぐ焦げてしまうため、弱火で炒めます。鍋をいったん熱くしてから火力を弱くして油を入れ、油がまだぬるいうちに香味野菜を入れて炒めます。にんにくやしょうがの香りが立ち始めたら、強火にして肉を入れます。
仕上げ
家庭用冷凍庫は開閉は頻繁なため一定温度が保てません。肉の保存期間は1ヶ月が限度です。
その4解凍のコツ
冷凍した肉は、なるべく低温でゆっくり解凍するのが原則です。肉の形や大きさにもよりますが、冷蔵庫で3~4時間半解凍になります。指で押してみるとまだ内部が少し凍っている状態で調理を始めます。完全に解凍してしまうとおいしい肉汁が流れ出してしまいます。急ぐときは室温に出して解凍するか、電子レンジの解凍機能を利用。いきなり水やお湯につけると肉のうまみや風味がそこなわれます。
解凍によって生肉からドリップが出ますが、同時に生肉の栄養分も一部もドリップに移行します。その移行率は解凍法によって少し異なります。牛サーロインの場合のたんぱく質の移行率は室温解凍が一番少なく、電子レンジ、冷蔵庫の順という分析データがあります。
参考文献:「食肉がわかる本」(財)日本食肉消費総合センター刊より出典